1. 「車検」とは
車を持っている人ならたいてい知っている「車検」ですが、法律用語のなかに「車検」という言葉はありません。自動車の登録や整備に関わる法律は「道路運送車両法」と言い、その中に「自動車の検査」として次の5項目が定められています。
@新規検査 A継続検査 B臨時検査 C構造変更検査 D予備検査
一般的に「車検」とは、この中のA継続検査のことを指します。それを説明する前に ほかの4項目の「検査」がどんなものか説明しておきます。
新規検査 新車や廃車された中古車を、登録しナンバーをもらうために受ける検査。
新車はメーカーがあらかじめ検査を受けているので、書類だけの登録でよい。臨時検査 天災等で特定地域の車両が性能の低下や安全性を損なう恐れがある場合に、
国が非常措置として命令し、受けなければならない検査。構造変更検査 長さ・幅・高さ等の構造を新規登録したときと違う状態に改造した(車検証に記載された内容と違う構造になった)場合に受ける検査で、有効期間も変更になる。 予備検査 三ヶ月以内に登録しようとする自動車の性能や安全性を証明するためにあらかじめ受けておき、「予備検査証」を取得するための検査。
2. 「車検」とは、「継続検査」です
皆さんになじみの深い「車検」とは、前項A継続検査のことで 車両法第62条に書かれています。 内容を要約すると次のようになります。
「使用者は、自動車検査証の有効期間の満了後も使用したいときは、自動車を提示し検査証を提出して、運輸大臣が行なう継続検査を受けなければならない。」 「継続検査の結果、保安基準に適合すると認めたら 新しい有効期間を与える」
- 車検のたびに車検証を返納し、合格したら新しい車検証をもらう と考えてください。
- 「国土交通大臣が行なう継続検査」の事務手続きは、各県の陸運支局で行なわれます。(ナンバーの上段に表示されている漢字又はひらがなの数だけ支局や事務所が存在します。)
- 継続検査」の「検査実務」は、各県の陸運支局(支所・事務所)のほか、国の指定を受けた指定整備事業者=民間車検工場でも実施します。
3. 「車検」とは、「保安基準に適合しているか」 検査すること
「保安基準に適合する」とは、自動車の構造や装置が、国で定めた保安上の技術基準を満足していることです。
- 自動車の構造は、車検証と現車を比べて 同じであるか調べます。(同一性の確認と言います)
- 装置(エンジン・ブレーキ等各部品の総称)は、性能面と安全面から見て一定基準以上であるかを、視認(眼で見たり触ったりして)及び機器(テスター)によって調べます。(完成検査の事です)
- 完成検査は、各県の陸運支局においては国家公務員である「検査官」が実施しますが、民間車検工場では資格をもって選任された「検査員」(公務員ではないが同等の権限と遵守義務を有する)が行ないます。